ASUSの「ROG Ally」は、Windows 11 Home搭載の7インチ携帯型ゲーミングPCです。
Ryzen Z1シリーズのAMD製プロセッサー(上位モデルはRyzen Z1 Extreme)とRDNA 3 GPUを内蔵し、ポータブルながら高いゲーム性能を発揮します。
PCゲームストア(Steam、Epic、GOGなど)はもちろん、3ヶ月分のXbox Game Pass Ultimateが付属し、Xbox Game Passのゲームもプレイ可能です。
さらに、専用アプリ「Armoury Crate SE」によって性能設定やゲームライブラリ管理がしやすい設計になっています。
製品スペック
主要モデルのスペック(日本版)は以下の通りです。
上位のZ1 Extreme搭載版は8コア16スレッド・GPU約8.6TFlops、メモリ16GB/512GB搭載、下位Z1版は6コア12スレッド・約2.8TFlops、同じ16GB/512GBです。
2024年発売の「ROG Ally X」はZ1 Extreme、メモリ24GB、1TB SSDを搭載し、バッテリー容量は従来の40Whから80Whへ倍増されています。
デュアルUSB-CやmicroSDスロット、80Whバッテリー、120Hz駆動のフルHD液晶などを備え、長時間・高負荷のゲームプレイに対応します。
モデル・仕様 | ROG Ally (Z1 Extreme) | ROG Ally (Z1) | ROG Ally X (Z1 Extreme) |
---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen Z1 Extreme (8C/16T) | AMD Ryzen Z1 (6C/12T) | AMD Ryzen Z1 Extreme (8C/16T) |
GPU | AMD Radeon (RDNA3, 最大8.6TFLOPS) | AMD Radeon (RDNA3, 最大2.8TFLOPS) | AMD Radeon (RDNA3, 最大8.6TFLOPS) |
メモリ | 16GB LPDDR5-6400 | 16GB LPDDR5-6400 | 24GB LPDDR5X-7500 |
ストレージ | 512GB PCIe Gen4 SSD | 512GB PCIe Gen4 SSD | 1TB PCIe Gen4 SSD |
ディスプレイ | 7.0型 FHD (1920×1080) 120Hz タッチ | 7.0型 FHD 120Hz タッチ | 7.0型 FHD 120Hz タッチ |
バッテリー | 40Wh | 40Wh | 80Wh |
重量 | 約608g | 約608g | 約678g |
OS | Windows 11 Home | Windows 11 Home | Windows 11 Home |
価格 (税別) | ¥109,800(Z1 Extreme版) | ¥89,800(Z1版) | ¥139,800 |
主な機能・特徴
Windows 11搭載・ゲームパス同梱
フルバージョンWindows 11 Homeを採用し、Xbox Game Pass Ultimateが3ヵ月分付属。サインインするだけでGame Passのライブラリにアクセスできます。
多様なゲームプラットフォーム対応
Steam、Epic、GOG、Xbox Game Passなど主要プラットフォームのゲームをプレイ可能で、購入済みのPCゲームはすべて持ち運べます。
Androidゲームも「Google Play Games」経由で一部プレイできます。
高リフレッシュレート液晶
7インチのフルHD(1920×1080)IPSディスプレイは120Hz駆動、AMD FreeSync対応で高速なアクションも滑らかに描画します。
拡張性
USB4対応Type-Cポート×2を備え、100W PD充電やROG XG Mobile(別売りの外付けGPUボックス)接続にも対応。
ROG XG MobileにRTX 4090搭載版を接続すれば、PC並みの性能で据置きプレイも可能です。
冷却・バッテリー
ROG独自の“ゼログラビティ”デュアルファン冷却システムを採用し、どの向きでも効率よく排熱します。
Ally Xではバッテリー容量が従来比2倍(80Wh)になり、テストでは連続最大約11.7時間の駆動を実現しています。
発売日・価格
ROG Allyは2023年6月14日に日本で発売されました。
初期は上位のRyzen Z1 Extreme版(メモリ16GB/512GB)で、税別109,800円でした。
下位のRyzen Z1版(16GB/512GB)は後日予約開始予定で税別89,800円と発表されています。
2024年7月24日にはバッテリー強化版「ROG Ally X」が発売され、上記スペック(Ryzen Z1 Extreme/24GB/1TB)で税別139,800円に設定されました。
日本ではASUS公式通販(ASUS Store)のほか、Amazon.co.jp、エディオン、ビックカメラ、ヨドバシカメラなど大手家電量販店で購入できます。
互換性
本機はWindows PCのため、PC向けゲームは基本的にすべて動作します。
Steam、Epic、Ubisoft+、EA Playなど各種ストアのライブラリに対応し、購入したゲームがそのままプレイ可能です。
また、Xboxアプリ経由でのクラウドセーブやXbox Cloud Gaming (Beta) もサポートし、通信環境さえあれば『Forza Horizon 5』や『テトリス エフェクト』などをストリーミングで手軽に遊べます。
Androidゲームについても、Google Play Games経由でのプレイが確認されています。
他デバイスとの比較
同カテゴリの代表機としてValve「Steam Deck」があります。
Steam Deck OLEDモデル(2023年版)は7.4インチ1280×800 90Hz OLED、16GBメモリ、最大1TB SSD(1TB版)で、LinuxベースのSteamOSを採用。
価格は1TB版で約12万円程度です。
一方、ROG Ally Xは7インチ1080p120Hz、Ryzen Z1 Extreme(RDNA3 8.6TFLOPS)、24GB/1TB、Windows 11を搭載し、性能を重視するなら現状トップクラスですが価格も高めです。
ASUS ROG Allyが登場したことにより、Steam Deckの存在感が一気に薄れてしまいました。
下表は主なスペック比較です(Steam Deckは1TB版OLEDモデルで比較)。
デバイス | CPU/GPU | メモリ | ストレージ | ディスプレイ | OS | 価格帯 |
---|---|---|---|---|---|---|
ASUS ROG Ally X (2024) | AMD Ryzen Z1 Extreme (RDNA3, 最大8.6TFLOPS) | 24GB | 1TB SSD | 7.0型 FHD 120Hz IPS | Windows 11 | ¥139,800 |
Valve Steam Deck OLED | AMD Zen 2 + RDNA2 (約1.6TFLOPS) | 16GB | 512GB/1TB SSD | 7.4型 1280×800 OLED 90Hz | SteamOS | 約¥120,000 |
購入場所
日本国内では、ASUS公式オンラインストア(ASUS Store)のほかAmazon.co.jpなどECサイトでも取り扱われています。
店頭販売も充実しており、量販店のエディオン・ビックカメラ・ヨドバシカメラなどで実機を触って購入可能です。
海外ではASUS直販サイトや大手通販、米国ではBest Buyなどでも販売されています。
レビュー・評価
専門家レビューでは「携帯型でこれほどの性能は初」(GAME Watch)と評されており、高負荷ゲームを低プリセットで滑らかに動作させられる点が大きなメリットとされています。
ROG Ally Xはバッテリーが約80Whに強化された結果、最大約11.7時間の連続駆動が確認されています。
一方、デメリットとしてはWindows OSゆえにUIが携帯ゲーム機ほど洗練されておらず、ソフトウェア面で戸惑うケースも指摘されています。
また、重量は当初モデルでも約608g、強化版では約678gと重めで、長時間携行や片手操作にはやや辛さを感じる声もあります。
MicroSDカードスロットのアクセス速度や信頼性が課題とするユーザーも報告されています。
総じて「携帯型PCとしては非常に高性能だが、価格と携帯性は割高」という評価が多いようです。
Xboxとの連携
ROG AllyはWindows機のため、Xboxアカウントとの連携およびXbox Game Pass対応が前提です。
発売時には3ヶ月分のGame Pass Ultimateが同梱され、起動時にXboxアカウント情報を自動認識してGame Passライブラリにアクセスします。
また、付属のEdgeブラウザやXboxアプリからXbox Cloud Gaming(ストリーミングサービス)にアクセスすれば、家庭用Xboxのタイトルをネット経由でプレイできます。
さらに最新情報として、2025年にMicrosoftとASUSの提携で「ROG Xbox Ally」シリーズが発表されました。
これはゲームバー機能や専用Xboxボタンを備えたWindowsハンドヘルド機で、基本モデルはSteam Deck相当、上位のXbox Ally XはZen 5ベースの「Ryzen Z2 Extreme」搭載のハイエンド機となる見込みです。
Nintendo Switch 2が約5万円で販売しましたが、どこまで価格を下げられるのかが注目されています。