LGエレクトロニクスの27インチ4Kスマートモニター「27SR73U-W」(webOS 23搭載)と、任天堂の次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」を組み合わせた場合の互換性・使い勝手について、ポイントごとに詳しく検証します。
Nintendo Switch 2用に新しいモニターの購入を検討している方の参考になるような構成になっています。
Nintendo Switch 2のTVモード映像出力互換性(4K/HDR対応可否・HDMI仕様)
4K解像度・フレームレート互換性
Nintendo Switch 2はドック接続のTVモードで最大「4K (3840×2160)」解像度の出力に対応しており、初代Switch(最大1080p)の4倍のピクセル数でより精細な映像を表示できます。
4K出力時のフレームレートは最大60fpsまでに制限されています。
一方、LG 27SR73U-Wモニターは4K UHD(3840×2160)/60Hz表示に対応するHDMI2.0ポートを2系統搭載しています。
リフレッシュレートは最大60Hzのため、Switch 2がサポートする120fps出力(※一部ゲーム・解像度で可能)については、本モニターでは60fpsまでしか表示できません。
しかしSwitch 2側も4K時は60fpsが上限であり、モニター側も60Hz対応なので4K解像度・60fpsでの表示互換性は問題なく確保されています。
HDR出力対応
Nintendo Switch 2はシリーズ初のHDR映像出力(ハイダイナミックレンジ)に対応しており、対応ゲームではより明暗のコントラストや鮮やかな色表現が可能です。
HDR出力を活かすには接続先のディスプレイがHDR対応である必要があります。
LG 27SR73U-WはHDR10信号の表示に対応しており(HDR10対応 ○)、明るさ350cd/㎡のIPSパネルにダイナミックトーンマッピング機能も搭載しているため、HDR映像のハイライトとシャドウをモニターの性能範囲で適切に表現できます。
したがってSwitch 2のHDR出力も本モニターで表示可能です。
HDR有効時でも4K/60Hzで接続でき、HDCP2.2にも対応しているため著作権保護コンテンツの再生にも問題ありません。
接続インターフェース
LG 27SR73U-WのHDMIはバージョン2.0対応で、Switch 2の4K映像伝送に十分な帯域(18Gbps)があります。
Switch 2ドック~モニター間は付属の高品質HDMIケーブル(少なくともPremium High Speed以上)を使用すれば4K HDR出力が確実に行えます。
なお、本モニターはリフレッシュレート可変(VRR)や自動低遅延モード(ALLM)対応の記載はありませんが、Switch 2自体は現時点で可変リフレッシュレート非対応と思われるため(公式FAQには言及無し)、ゲームプレイ中はモニター側の「Game Optimizer(ゲーム最適化モード)」を手動で有効にすることで遅延を抑えると良いでしょう。
<評価>
以上より、LG 27SR73U-WはNintendo Switch 2の映像出力要件(4K解像度・HDR信号・60Hz)を概ね満たしており、画質面での相性は良好です。
Switch 2の性能をフルに活かした4K映像を楽しめ、HDR対応ゲームならよりリッチな映像体験が可能です。
ただし4K 120HzやVRRといった将来的な拡張機能については、本モニターの仕様上対応外となります。
携帯モードとの切り替えや併用のしやすさ(ドック着脱・ポートアクセス性)
ドック接続の据置運用
Switch 2をドックに装着し本モニターでプレイする際の手順や使い勝手は、一般的なTV接続時と同様にシンプルです。
27SR73U-Wは背面にHDMI入力を2ポート備えており、Switchドックを常時1つに接続しておけば、遊ぶ際にドックに本体を差し込むだけで即座に画面に出力されます。
入力切替もリモコン操作でワンタッチで行えるため、例えばHDMI1にSwitchドック、HDMI2にPCというように複数機器を接続していても簡単に映像ソースを切り替え可能です。
モニターには標準でリモコンが付属しており、電源ON/OFFや入力切替・音量調整などを手元で行える点は、ボタン操作が必要な通常のPCモニターに比べ便利なポイントです。
携帯モードへの移行
Switch 2本体をドックから取り外せば自動的に携帯モードに切り替わります。
この際モニター側は信号ロストになるため待機画面になりますが、特段問題はありません。
ゲームを再開する際は本体を再度ドックに挿入すれば映像が復帰し、続きから大画面プレイを継続できます。
ドックの着脱は頻繁に行っても構造上大きな負荷はかかりません(初代Switchでも実証済み)ですが、モニター近くにドックを安定して設置できるよう、余裕のあるスペースとHDMIケーブルの取り回しに配慮すると良いでしょう。
他デバイスとの併用
27SR73U-WはUSB Type-C入力(映像対応)も備えており、例えばノートPCをUSB-C経由で接続しつつ、SwitchドックはHDMIで繋いでおくといったマルチ接続が可能です。
USB-C経由では最大65Wの給電も行えるため、ノートPCを充電しながら映像出力でき、ドッキングステーション的な役割も果たします。
このようにHDMI×2+USB-Cという豊富な入力端子のおかげで、Switch 2とPC/他のゲーム機を同時に接続・待機させ、リモコンで入力を切り替えながら併用するといった運用がスムーズに行えます。
これは、Nintendo Switchのみならず、PCやその他のUSB-C接続に対応した機器を利用する際にもメリットになります。
ポートのアクセス性
モニターの映像入力端子類は背面に配置されています(一般的なモニターと同様)。
頻繁に抜き差しする場合はやや手間ですが、上述の通り常用機器は差しっぱなしにできるため、日常的にケーブルを抜き差しする必要性は低いでしょう。
USBダウンストリーム(USB-A)ポートも2基あり、モニターにUSBハブ機能があります。
ノートPCをUSB-C接続すればこれらUSB2.0ポートに接続したキーボード・マウスなどもPCから使用可能で、ドック着脱同様にワンタッチで作業環境⇔ゲーム環境を切り替えられる利便性があります。
<評価>
Switch 2のドック運用と27SR73U-Wモニターの組み合わせは、据置ゲーム機+PCモニターという従来の使い方と同じ感覚で違和感なく利用可能です。
リモコン付属や入力端子の多さもあり、他デバイスとの併用・切替も快適です。
Switch本体の携帯⇔TVモードの切り替えもスムーズで、モニター側で特別な操作を必要としません。
総じてドック着脱やマルチ入力の扱いやすさは良好であり、デスクトップ環境でSwitch 2を使いたい場合にも適したモニターと言えます。
モニター内蔵スピーカーおよび外部音声出力の利便性・音質評価
内蔵スピーカーの仕様
LG 27SR73U-Wは5W+5W出力のステレオスピーカー内蔵モデルです。
モニター単体で映像だけでなく音声も再生可能で、ゲームや動画視聴時に追加のスピーカーを用意しなくても音が出る点は利便性があります。
メーカーも「迫力のあるサウンドをお楽しみいただけます」と謳っていますが、実際の音質はあくまでモニター内蔵スピーカーとして標準的な範囲です。
高音質を期待できるほどの大出力ではなく、小~中音量で近距離で聞く用途(デスク作業や個人のゲームプレイ)に適した簡易スピーカーと考えてよいでしょう。
ボイスチャットや会話の聞き取りは問題ありませんが、低音の迫力や臨場感は据置AV機器やサウンドバーには及ばないはずです。
音質・評判
ユーザーレビューによれば「内蔵スピーカーは『ついているだけ』の低クオリティ」で、大音量や重低音再生には物足りないとの声があります。
とくに映像配信サービスで映画鑑賞を楽しむ場合や、音楽ゲームなどサウンド重視のコンテンツでは物足りなさを感じる可能性があります。
そのため本格的に音を楽しみたい場合は外部スピーカーやヘッドホンの併用が望ましいでしょう。
ただし後述の通り、本機は物理的な音声出力端子を持たない点に注意が必要です。
外部音声出力の有無
27SR73U-Wにはヘッドホン端子(3.5mm)や光デジタル出力などの有線オーディオ出力ポートが搭載されていません。
据置型のスマートモニターですが、テレビ用のARC/eARC機能も省かれており、音声を外部に取り出す直接的な手段がない設計です。
そのため、有線の外部スピーカーを繋ぐことができず、外部オーディオを利用する場合はBluetooth接続に頼る必要があります。
モニター自体がBluetooth 5.0を内蔵しており、ペアリングによってワイヤレススピーカーやヘッドホンと接続可能です。
実際「Bluetooth接続での外部スピーカーしか使えない」と指摘するユーザーレビューもあります。
Bluetooth音響の利便性
Bluetooth対応により、ワイヤレスヘッドホンで夜間に大画面ゲームを楽しむ、あるいはBluetoothスピーカーでモニターの音を増強すること自体は可能です。
LGのWebOS搭載TV/モニターは、スマホからモニターへ音楽を流す「Bluetoothスピーカー機能」や、逆にモニターの音声をBluetoothイヤホンへ出力する機能を備えている場合があります。
27SR73U-Wもスマホやタブレットの音楽をBluetooth経由で再生可能と紹介されており、おそらくモニター→Bluetoothヘッドホン/スピーカー出力にも対応していると考えられます(要ペアリング設定)。
ただし、Bluetooth経由の音声は映像とわずかな遅延が生じるため、リズムゲームや対戦ゲームでの使用には注意が必要です。
また、Switch 2自体も本体にBluetoothオーディオ出力機能がありますが(携帯モード時に対応)、ドック接続時はモニター側に音声が集約されるため、基本的にはモニターからBluetooth送信したほうが運用しやすいでしょう。
<評価>
音響面では、本モニターは手軽さ重視で高音質や拡張性には制約があります。
内蔵スピーカーは日常利用には便利ですが音質は平均的で、大音量や重低音再生には不向きです。
加えて有線の外部スピーカーを直結できない設計はやや惜しい点で、映像視聴を本格的に楽しみたいユーザーにとっては不満が残る可能性があります。
一方でBluetooth対応によりワイヤレス音響機器を利用する道は用意されており、「手軽さ」と「音質向上」を両立するにはBluetoothスピーカー/ヘッドホンの活用が実質必須と言えます。
総合すると、カジュアルな用途なら内蔵スピーカーで十分ですが、音にこだわる場合は別途対策を講じる必要があります。
webOSスマートモニター機能とSwitch 2・PC・スマホ等他用途との競合・補完
LG 27SR73U-Wは単なるPCモニターではなくスマートOS(webOS 23)を内蔵した多機能ディスプレイです。
そのため、Nintendo Switch 2やPC・スマホと組み合わせる際、独立した機能セットを持つ「スマートTV的モニター」として動作します。
以下に主なスマート機能と他デバイス利用との関係をまとめます。
豊富な映像ストリーミング機能
本機はテレビ同様にネットワーク経由でNetflix、Amazon Prime Video、Apple TV+、Disney+、HBO Maxなど主要な動画配信サービスを視聴可能です。
リモコンのホームメニューからこれらアプリに直接アクセスでき、Switch 2やPCを起動しなくても単体で映画やアニメ鑑賞が楽しめる点は大きな利点です。
とくに任天堂ハードは従来、Netflix等の公式アプリ提供が限定的(初代Switchでは対応アプリが少ない)でしたが、モニター側にスマート機能があることでSwitch 2にはゲームを任せ、映像配信はモニターで行うという明確な役割分担が可能になります。
これはお互いの機能が競合せず補完関係にある理想的なケースと言えます。
PCレスの作業・Web利用
webOS上でWebブラウザを起動して調べものをしたり、Microsoft 365やGoogleドキュメント等のクラウドオフィスサービスにアクセスすることも可能です。
リモコン操作とオンスクリーンキーボード(またはUSB接続キーボード)を用いて簡易的な作業を行え、ちょっとしたメール確認や文章閲覧であればPCを起動せずとも済ませられる利点があります。
また、リモートデスクトップ機能も備えており(Windows PCを遠隔操作するThinQリモートアクセス等)、
自室にPC本体がなくてもモニター経由でクラウドPCやリモートPCに接続して作業することもできます。
これらの機能は従来PCで行っていたことをモニター単体で代替するもので、PCの機能を一部肩代わりして補完する存在と言えます。
ただし高度な作業や入力が多い作業ではPC本体の方が快適なので、あくまで軽作業用途の補助機能です。
モバイル端末との連携 (AirPlay2/Miracast)
27SR73U-WはAppleのAirPlay2やMiracastに対応しており、スマートフォンやタブレット、対応PCから画面ミラーリングやメディア再生をワイヤレスで行えます。
例えばiPhoneやiPadで撮影した写真・動画をAirPlayで飛ばして27インチの大画面で表示したり、Androidスマホの画面をMiracastで映し出してアプリを共有するといった使い方が可能です。
これはSwitch 2にはないスマホ連携機能であり、モニターがホームエンターテインメントハブの役割を果たします。
他方で、スマホ側でNetflix等を再生しモニターにミラーリングすることもできますが、前述の通りモニターにネイティブアプリがあるためあまり必要ないでしょう。
むしろ動画はモニター単体再生、ゲームや専用アプリはSwitch/スマホ、と用途に応じて使い分けられる点で補完可能です。
多用途デバイスのハブとして
豊富な入力とスマート機能により、本モニターはゲーム+仕事+動画鑑賞+モバイル連携を一台で担えます。
USB-Cで接続したノートPCはモニターからの65W給電とUSBハブ機能により充電・データ接続ができ、PC接続中でもモニターのPiP/PbP機能はありませんがリモコンですぐwebOSに切り替えて動画を流すこともできます(PC作業の休憩にモニター単体でYouTubeを見る等)。
また、Switch 2でゲーム中にスマホからAirPlayで音楽を流しBGM代わりにするといった同時併用的な使い方も可能です(モニター側で複数入力の同時表示はできませんが、片方は音声のみ再生する運用は考えられます)。
このように複数機器をモニター中心に集約できるため、デスク周りがスッキリし利便性が高まります。
競合する部分
強いて「競合」するとすれば、モニターがスマート機能を多数持つため、従来これらを担っていた外部デバイスが不要になる点です。
例えばFire TV StickやChromecastといったストリーミング端末、Apple TV、さらにはテレビチューナー(本機にチューナーは無いので別途必要ですが)などを追加する必要性は低くなります。
これはユーザーにとってはコスト削減・操作集約のメリットですが、既にそうした機器を持っている場合、モニター側とどちらを使うか選択肢が増えることになります。
ただ、最終的には「ゲームはSwitch 2、PC作業はPC、本機はそれ以外の映像コンテンツや簡易作業を担う」というように役割分担させることで互いの長所を活かせるでしょう。
性能的にもSwitch 2やPCの方が高度なゲーム処理・計算処理は得意で、モニター側は手軽さや即応性に優れています。
したがって競合というより棲み分け・補完関係が成り立つと評価できます。
LG 27SR73U-Wのスマートモニター機能は、Nintendo Switch 2やPC・スマホと競合せず、むしろユーザー体験を補完・拡張する役割を果たします。
モニター自身がエンターテインメントプラットフォームになり得るため、Switch 2でゲームをしない時でも有効活用でき、PCがなくても基本的なネットコンテンツを楽しめます。
Switch 2+スマートモニターの組み合わせは、ゲーム+映像視聴の環境をシンプルにまとめられる理想的な形態と言えるでしょう。
例えばSwitch 2でプレイした後、そのままモニターのNetflixアプリで映画を見る、といったシームレスな切替えが可能です。
加えてUSB-C経由のPC接続やAirPlay2/Miracast対応により、仕事用PCやスマホとも連携できオールインワンのハブ的存在になります。
総じて、LG 27SR73U-WはSwitch 2との相性が良く、他デバイスも含めたマルチメディア用途を支える多才なディスプレイと言えるでしょう。