今回の記事では、INNOCNのモニター「25G2G」とNintendo Switch 2の相性について調査した結果をまとめています。
2025年に発売された最新世代機で不満なくゲームを楽しみたい人に向けて、最適なモニター探しの参考になると思います。
HDMI接続による映像出力の互換性
INNOCN 25G2Gは標準的なHDMI 2.0ポートを備えており、Nintendo Switch 2のドックと問題なく接続できます。
Switch 2側は最大4K@60Hz出力(HDR10対応)に対応しますが、接続先のディスプレイがフルHD(1080p)までの場合、自動的に1080p信号で出力されます。
このモニターはフルHD解像度での入力に対応しているため、映像の表示自体に互換性の問題はありません。
Switch 2同梱のHDMI 2.1ケーブルをそのまま使っても、モニター側がHDMI 2.0規格内で受信するので支障なく映像が映ります(※HDMI2.0では4Kや高フレームレート信号帯域が一部制限されますが、モニター自身が1080p/180Hzまでの仕様なので実用上問題ありません)。
また接続時にはモニターがゲーム機をPC同様に認識し、映像が表示されます。
実際にPCからHDMI接続した際もスムーズに画面出力できたとの報告があり、Switch 2でも同様に簡単に接続できます。
180Hzのリフレッシュレートと1ms応答速度:Switch 2に対してオーバースペックか
Nintendo Switch(初代)は最大でフルHD/60fpsまでの映像出力でしたが、Switch 2では性能向上により最高120fpsまで対応しています。
とはいえ、Switch 2のフルHD出力は 120Hz(120fps) が上限であり、モニターの最大リフレッシュレート180Hzと比べると約60Hz分の余裕(オーバースペック)がある状況です。
つまりSwitch 2単体では180Hzの恩恵をフルに活かせず、せいぜい120Hzまでとなります。
しかしこの超過分の性能が無駄になる以外のデメリットは特になく、120fps対応のゲームであればモニター側で滑らかな高フレームレート表示が可能です。
実際「Switch 2は最大120Hz出力だが、このモニター(※別機種例)もHDMI経由で144Hz、DP接続なら180Hzまで対応しており、Switch 2の性能を余裕でカバーできる」と言及されている通り、120Hzを超えるリフレッシュレートは将来的なPC利用や他の用途で活きると捉えることもできます。
1msの高速応答についても、コンソールゲーム用途ではオーバースペック気味ではあるものの、映像残像の少ないクリアな表示や入力遅延の低減に寄与するため、無駄というより「余裕がある高性能」と評価できます。
加えてSwitch 2はHDR出力にも対応しており、25G2G側もHDR10(DisplayHDR400)に対応しているためHDR映像の表示も可能です。
ただしHDR400相当の輝度はテレビの本格的なHDRと比べると控えめであり、「HDR効果を一応楽しめる程度」の仕様である点は留意してください。
なおモニター搭載のAdaptiveSync(可変リフレッシュレート)機能については、Switch 2では現状TVモード(ドック接続時)のVRR出力を公式にサポートしていないため利用できません。
(※任天堂は携帯モードのみVRR対応と発表しています)
この点はPS5やXboxシリーズXのようなVRR対応ゲーム機と異なる部分ですが、Switch 2の映像出力は比較的安定したフレームレートが想定されるため、大きな支障にはならないでしょう。
スピーカー非搭載による音声出力の課題と代替手段
INNOCN 25G2G背面端子部
左から電源入力(DC)、DisplayPort、HDMI、そして右端に3.5mmステレオミニの音声出力(ヘッドフォン端子)があります。
本機は内蔵スピーカーを搭載していないため、接続した機器の音声はこのヘッドホン端子経由で出力する設計になっています。
したがってSwitch 2を接続した場合も、モニター単体では音が出ず、別途スピーカーやヘッドホンを用意して接続する必要があります。
この点、モニターにヘッドホン端子が用意されているのは救いで、外部スピーカーやヘッドホンを直接モニターに挿せばゲーム音声を聞くことが可能です。
実際ユーザーからも「スピーカーが内蔵されていないため音を出すには別途スピーカーやヘッドホンが必要」と指摘されており、普段からヘッドセットでプレイする場合は問題ありませんが、「ちょっとした動画視聴時に音を出したいときに不便」と感じるケースもあります。
以下に、音声出力の代替手段をいくつかまとめます。
モニターのヘッドホン出力端子に外部スピーカー/ヘッドホンを接続: 最も手軽な方法です。モニター背面の3.5mm音声出力にパソコン用スピーカーやヘッドホンを挿せば、Switch 2の音声が出力されます。音量調整はスピーカー側かSwitch本体側で行う形になります。
Nintendo Switch 2本体のヘッドホン端子を利用: ドックに据え置き中でも、Switch本体のイヤホン端子(3.5mm)にヘッドホンやスピーカー(ライン接続)を挿せば音声は出力されます。ただしドック内の本体にケーブルを挿すのはやや煩雑ですし、接続ケーブルの長さも考慮する必要があります(現実的には据置プレイ時はモニター側の端子を使うほうが便利でしょう)。
HDMI音声分離器(オーディオエクストラクター)を使用: HDMI信号から音声だけを分離して出力する機器を間に挟む方法です。Switch 2のドック~モニター間にAudio Extractorを接続し、映像信号はそのままモニターへ送りつつ、音声信号を光デジタルやアナログRCA端子で取り出して外部スピーカーに出力できます。例えば「Avedio Links Audio Extractor」のような機器を使えばHDMI出力の音声を光SPDIFやアナログRCAに分配可能で、手持ちのオーディオ機器やAVアンプ等に高音質でつなぐこともできます。モニターに音声入力がない場合や、より良い音響設備で楽しみたい場合に有効な手段です。
Bluetooth対応スピーカー/ヘッドホンを利用: Switch 2はBluetoothオーディオ送信にも対応しているため、対応するワイヤレスヘッドホンやスピーカーに直接ペアリングして音を飛ばすこともできます。ただし遅延が発生しやすい点と、Switch 2本体に同時接続できるBluetooth機器数に制限がある点(コントローラーと併用する場合は最大2台まで等)に注意が必要です。リアルタイム性が重視されるゲームではあまりおすすめできませんが、手軽さはあります。
Nintendo Switch 2との相性・実用性
以上を踏まえると、INNOCN 25G2GモニターはNintendo Switch 2と十分実用的に組み合わせて使用可能です。
映像表示面では解像度・フレームレートともにSwitch 2側の出力仕様を満たしており、接続もシンプルにHDMIケーブル一本で完結します。
ゲーム機との互換性も高く設計されており、Switch 2の映像信号を問題なく映し出せるでしょう。
ただし、高性能ゆえに一部スペックがオーバースペック気味である点や、音声出力の手間といった考慮事項もあります。
最後に、Switch 2と本モニターを組み合わせるメリット・デメリットを整理します。
メリット
映像出力に問題なし: Switch 2ドックのHDMI出力をそのまま受けられ、フルHD解像度でゲーム映像を表示可能。高リフレッシュレートにも対応しているため、将来的に120fps対応ゲームが登場した場合でも滑らかな表示が期待できます。
低遅延かつ高画質: 1ms高速応答のIPSパネルで、遅延や残像の少ない鮮やかな映像体験ができます。HDR400対応で色彩表現も豊かなので、Switch 2のHDR対応ゲームもダイナミックレンジ拡大による映像美を享受できます。
汎用性とコストパフォーマンス: フルHDクラスのゲーミングモニターとしては価格帯が手頃で、高リフレッシュレート仕様はPCや他のゲーム機での使用にも役立ちます。余裕ある180HzはPCゲーム用途で真価を発揮でき、「Switch 2用途にはややオーバースペックだが価格を考えれば非常にコスパ優秀」との評価もあります。
デメリット
解像度面での制約: モニターがフルHD止まりのため、仮にSwitch 2対応ゲームで4K映像表現がある場合でもその解像度では表示できません。高精細なグラフィックよりもフレームレート重視のプレイ向きと言えます(Switch 2側も4K時は60fps止まりなので、いずれにせよ両立は不可)。「画質優先で遊びたい」という場合は4K対応モニターやテレビの方が適しています。
モニター機能の一部未活用: 前述のように180Hzの大部分(120Hz超過分)はSwitch 2運用時に活かせず、AdaptiveSyncによるティアリング防止機能もSwitch 2のTVモード非対応により恩恵がありません。これらは大きな欠点ではありませんが、本来の性能を発揮できない要素として認識しておくべきです。
内蔵スピーカー非搭載: 本機だけでは音が出ないため、別途オーディオ環境を用意する手間があります。ヘッドホン端子経由で手軽に外部スピーカー/ヘッドホンを接続できるものの、デスクまわりの配線や機器が増える点は注意が必要です(手軽さを求めるならテレビの方が優位です)。
総合的に見れば、「映像はモニター、音声は外部スピーカー」という形でSwitch 2をPCモニター環境で楽しむことは十分現実的です。
特に机上でプレイする場合や、高FPS対応ゲームを滑らかに遊びたい場合には、本機の高リフレッシュレート・低遅延性能が活きてきます。
一方で4K画質や内蔵音響といったテレビ的な要素は割り切る必要があります。
結論として、INNOCN 25G2GはSwitch 2との相性は良好で実用上の問題はほぼありませんが、スペックの一部は持て余すため「宝の持ち腐れ」感が出る場面もあるでしょう。
Switch 2以外にもPCゲームや他機種で本モニターを活用する予定があるなら非常に有用な選択肢ですし、そうでなくとも価格相応以上の性能を発揮してくれるコストパフォーマンスの高いモニターと言えます。