ゲーム用にモニターを探しているときに、G-SyncやFreeSyncという言葉を目にすることは多いでしょう。
モニターのリフレッシュレートをグラフィックカードと同期させることにより画面のズレやティアリングなどの問題を軽減するのに役立ちます。
これまでは、ティアリングを抑えるためにV-Syncという技術がメインとされていましたが、GPUやゲームの性能が上がり新しいG-SyncとFreeSyncという技術が生まれました。
今回は、それぞれの違いやモニターを選ぶときのポイントを解説します。
目次
G-Syncとは
G-Syncはゲーミング用のモニターやノートパソコンに使用されるディスプレイ技術であり、特に動きの早い FPSゲームなどに有効な技術です。
NVIDIAが開発しており、モニターのリフレッシュレートとGPUのフレームレートを同期させ、画面のカクツキや入力ラグを最小限に抑えます。
つまり、より滑らかな映像でゲームをプレイできるようになるということです。
例えば、グラフィックカードが毎秒60fpsを描画する場合、モニター側もリフレッシュレートを60Hzに自動で切り替えます。
これを可変リフレッシュレートと呼びます。
G-Syncは、1-240Hzまでのリフレッシュレート対応や超低モーションブラー(ブレが少ない)など、FreeSyncよりも性能が高いことが特徴です。
ですが、G-SyncはG-Syncに対応したディスプレイとNVIDIA製のグラフィックカードが搭載されたPCでのみ有効にできるため、ハードル・価格は高くなります。
G-Sync対応モニターとして販売するためには、300を超える技術テストをパスしなければならないため、メーカーから販売されるG-Sync対応モニターは高くなってしまうのです。
また、HDMIではなくDisplayPortでのみしかG-Syncを利用できませんでした。(G-sync CompatibleであればHDMI接続でも可能※後述)
G-Syncは2013年ごろからモニターに導入されるようになりましたが、今ではG-Sync、G-Sync Compatible、G-Sync Ultimateの3種類があります。
G-Sync
可変リフレッシュレートにより、ティアリングやカクツキ、入力遅延などを防ぎます。
G-Sync対応モニターとNVIDIA製のグラフィックカード利用時に有効にできる元祖G-Syncです。
G-Sync Compatible
NVIDIA製のGPUでは、FreeSyncに対応しておらず可変リフレッシュレートを体験することはできませんでした。
G-Syncに対応したモニターは価格が高くなるため、NVIDIA GPUとG-Sync対応モニターを持っている人は少なかったでしょう。
そこで、G-Sync CompatibleというFreeSyncとの互換機能が開発され、NVIDIAのGPUであってもFreeSync対応として利用できるようになりました。
FreeSyncであれば、HDMI接続でも利用可能です。
これにより、G-Syncよりも価格の抑えられたFreeSyncモニターでも可変リフレッシュレートを利用できるようになりました。
G-Sync Ultimate
G-Sync Ultimateは、NVIDIA G-Syncプロセッサを搭載し、上記に加えHDR映像まで対応しています。
HDRや4Kに対応したモニターを使用している場合に欠かせません。
G-Syncの最上位の機能になります。
G-Syncを利用するための条件
- Windows 7以降のOS
- NVIDIA GeForce GTX 650Ti またはそれ以上のGPU
- DisplayPort1.2による接続
G-Syncのポイント
- NVIDIAが開発
- 価格が高い
- 1-240Hzまでの可変リフレッシュレートに対応
- NVIDIA製GPUとG-Sync対応のモニターが必要
FreeSyncとは
FreeSyncはG-Syncとほぼ同じですが、AMDが持つ技術です。
性能ではG-Syncに劣りますが、G-Syncとは異なりライセンス料がかからないため、価格が安いことやHDMIとDisplayPortでの接続にも対応しているという特徴があります。
FreeSyncは、独自のハードウェアモジュールが不要になります。
そのため、AMDに対してライセンス料を支払う必要がないことが低価格というメリットを生み出しています。
FreeSyncのモニターを使う場合には、フレームレートに注意が必要です。
FreeSyncのほとんどのモニターは30fps〜48fpsの場合にのみ機能します。
グラフィックカードのフレームレートがこれらの数値を下回るとFreeSyncは機能しません。
2020年ごろにAMDは新しくFreeSync PremiumとFreeSync Premium Proという新たな規格を発表しました。
FreeSync Premiumとして認証されるためには、LFC機能と120Hz以上のリフレッシュレートが搭載されていなければなりません。
LFCとは「Low Frame rate Compensation」の略で、低フレームレートの映像でも滑らかに表示できるようにする技術のことです。
FreeSync Premium ProはHDRに対応しており、ティアリングやチラツキのない低レイテンシーの映像を実現します。
もちろん、FreeSync Premium Proは、LFCと120Hzリフレッシュレートが備わっていると考えてOKです。
AMD FreeSync Proに対応した「Call of Duty Black Ops4」や「Devil May Cry 5」のようなゲームでは正確な輝度広色域の映像でのプレイが可能になります。
FreeSyncのポイント
- AMDが開発
- DIsplayPort、HDMI2.1での接続に対応
- G-Syncよりも価格が安い
G-SyncとFreeSyncどちらを選ぶべきか
G-SyncとFreeSyncは、どちらも可変リフレッシュレートを可能にします。
G-Syncのほうができることが多く対応するリフレッシュレートの範囲も広いため、性能だけを比較すればG-Syncの方が優れています。
ただし、G-Syncは価格が高い・使用できる環境が限られているという問題がつきまといます。
加えて、NVIDIA製のグラフィックカードを備えていなければ、そもそも選択肢に入れることは難しいでしょう。
FreeSyncとG-Syncには約1〜3万円ほどの価格差がありますが、その性能を比較し考慮すれば、G-Syncには価格以上の価値があります。
FreeSyncでは30〜48fpsのフレームレートに対応していますが、現在主流のゲーミングモニターのほとんどはリフレッシュレート60Hz以上のものがほとんどです。
AMD製のGPUを使用している場合は、選択肢が限られますがNVIDIA製のGPUの場合は価格も抑えられたG-Sync Compatibleモニターも有力な候補になるでしょう。